さて、今回はパティシエの就職〜新卒、未経験者編〜です。
時期的に、専門学校の学生さんは来年度の就活を始めておられる人も増えてきているのではないでしょうか。
ご覧になっている方で、お子さんが「パティシエになりたい」とか、専門学校に行かれていて、就活をしている最中とかで有れば、参考になる内容を書いています。
今まで、様々な新卒や未経験の方を採用、入社してその経緯を見つめてきました。
時代も変わり〜平成から令和へと〜、意識も変わってきました。
でも、相変わらず、言われているように、この業界〜パティシエ〜の離職率は高く、1年で約70%が辞めると言われています。
でも、逆に言えば
「30%の人は1年以上続いている」
わけですよね。
当店では、働いてくれているスタッフは、結構長く続いている人が多いです。
そこを踏まえて、少しでも長く続くコツをお話ししていきます。
コミュニケーション、とれますか?
まあ、これが出来ていればかなりの部分で続ける事が出来るんですが、結構「コミュニケーション」が難しかったりするんですよね。
パティシエって職人のイメージが強いので、一人で黙々とケーキを作って、というイメージを持たれますが、実際は
「連携作業」
です。
作業している者同士が、「次はこれねー」「あれいつ焼けるのー」「先にこれやっといてー」
あれこればっかりですが(実際は商品の名前出しながらの会話ですが)、いわゆる会話のキャッチボールをしながら仕事します。
人付き合いが苦手とか、人見知りとかそれはいい(個人の性格ですから。僕もそんなに人付き合いは得意な方ではないです)んですが、
「人と会話をするのが苦手」
というのは結構厳しいですね。お客様とも会話をしないといけないケースも多々ありますし、それ以前にスタッフ同士で会話出来ないとかなると仕事にならない事もありますよね。
性格は個人それぞれなんで、きちんと会話のキャッチボールができて、お互い意思疎通できていればとりあえず問題無いです。
また、コミュニケーションを取れれば、同僚、先輩、販売のスタッフとかとも懇意になって、いろんな話が出来るようになります。そうなれば、ちょっとした悩みや愚痴を吐き出す事で落ち着くケースも多々あります。「溜め込んでしまう」というのが一番よくないです。
「学生」から「社会人」に変わる
学校を卒業して、就職すれば当たり前なんですが、「学生」から「社会人」に変わります。
当然、今までとは180度世界が変わります。
「学生」は自分で(実際は親御さんかな)授業料を払って学校に行きます。だから、その気があればなんでも教えてもらえます。
「社会人」は、会社に出勤して、与えられた仕事をこなして、給料を貰います。仕事に関する事は教えてもらえますが、教える方も仕事がメインですから、何回も懇切丁寧に教えては貰えません。
会社は仕事をして貰うために給料を支払っています。
また、学生は現在は土日休みの授業は週5日。僕らの頃は土曜日も授業があって、土曜日は「半ドン」(死語ですな)という午前中のみ授業があって、学校には週6日通っていました。
そんな環境ですから、卒業していきなり週6日勤務で長時間労働で、ってなったら続かないのはある意味仕方ないし、言ってもその子のせいでは無い気もしますし、逆に可哀想な気もしますね。
本当にその店、会社の事わかってますか?
「自分のやりたい仕事はこんなのではない」「もっと違う仕事がしたい」とか言って辞められた人もおられましたが、
「そもそも、そのお店、会社の仕事内容わかってました?」
ってレベルの人もいました。ホームページやSNSだけではわからない部分もあります。ベストは、何回か研修で工場の中に入ってみて、それから面接して・・・というのがいいんじゃないですかね。仕事の内容も概ねわかるでしょうし、スタッフとうまくやっていけるかな?ってのも多少なりとも掴めるでしょう。
自分のやりたい事、将来の目標と仕事の内容が大きく違っていたら続けるのも難しいケースもありますから、しっかり調べて会社訪問なり面接に臨んでほしいですね。
お菓子作り、好きですか?
製菓学校の生徒さんにこんな質問するのはおかしくない?と思われるかもですが、意外と
「お菓子を食べる事は好きだけど」とか「お菓子は好きだけど、作るのはあんまり・・・」みたいな答えも結構あるんです。
製菓学校に入学した経緯は人それぞれ違いはあるでしょうが、
「お菓子を作りたい!」
という気持ちで入学した人と、「作るのはそんなに興味はないけど、お菓子を食べたりするのは好きだし」といった気持ちの人ではモチベーションが全然違います。
入学した時の気持ちをもう一回思い出してみてください。最初は興味なかったけど、学校行ってやりだしたら面白くなってハマったとかならいいんですが、そんなに作るのに興味がないのに、製菓学校出たからとりあえずケーキ関係に就職を、ってやると、100%うまくいきません。
先の1年以内に70%以上が離職する、というのはここに大きな原因があります。
その「気」が無いなら別の職種に就職でもいいんじゃないですかね。そこで2、3年社会人の経験を積んで、もし「ケーキ作りの仕事がしてみたい」と思ったら、改めて製菓関係に就職してもいいんじゃないですかね。学校での勉強した事が無くなるわけではないので。
当店での取り組み
当店では、募集要項を見ていただければわかりますが、新卒者と未経験者(既卒だけど現場経験がない方)は最初はアルバイトでの採用となります。
理由は上記の通り、
「社会人経験が無いから」です。
まずは、アルバイトできっちり会社勤めをするという習慣をつける事です。
当店では原則1年(とりあえず、これで全部のイベントが体験できます)、社会人経験のある方は3〜6ヶ月で判断します。
アルバイトで当店で1年間勤めた方は、別会社での経験1年の方よりは給料の待遇は上です。(原則)
ウチの仕事を1年間勤めて、流れがわかっている人とそうで無い人とでは違いが出て当然、と考えています。
よろしかったら、下記をご覧下さい。
まとめ 〜未来のパティシエのみなさんへ〜
結構厳しい内容の事を書いてきましたが、なかなかここまでは学校の先生も言ってくれないかもしれないので、あえて書いてみました。
せっかく入社した人が、僅かの期間で辞めてしまう・・・会社側も大きな損失ですし、本人もそうですよね。嫌だから辞めて別の職業に、というのは簡単ですがそうもいかないでしょう。
心にも傷が付くかもしれませんし、立ち直りに時間がかかるかもしれません。
以前に、こんなブログを書きました。「未来のパティシエに幸あれ!?」
小学生や中学生には人気のある職業であるパティシエ。「夢」や「楽しさ」を体現できるような職場にしていくのも、我々の使命であり課題です。
また、若いうちは2、3年洋菓子業界に勤めて、違う世界を見てみたいとの考えで全く別の職種に転職する事も多いです。
でも、また何年後かに「やっぱり、パティシエがいいよな。」でこの業界に戻ってきたくなるように我々もしないといけないですね。
自分でしっかり考え、悔いの無い就職活動を頑張って下さい!